不妊鍼灸治療

世界保健機関による不妊の定義は「避妊をしていないのに12ヶ月にわたって妊娠に至れない状態」となっています。不妊は症状でもなく、病気でもありません。不妊は様々な原因によって起こる結果です。ですから様々な状況に合わせたツボや治療が必要になってきます。

不妊鍼灸は効果があると言えるものの、残念ながら効果が見込めないものもたくさんあります。卵管が詰まっている、子宮の奇形、子宮筋腫、子宮内膜症、精管の詰まり、精索静脈瘤等、「形の異常」が認められる場合は、鍼灸の適応外となります。鍼灸を受ける前に産婦人科、泌尿器科にて検査を受けることは不妊の原因を早期に発見することが重要になります。

不妊鍼灸治療の大きな効果は、卵子の質・子宮内環境を改善させることです。

不妊治療は、女性に心身ともに大きな負担がかかります。しかし、人工受精や体外受精などを何回行っても上手くいかないこともあります。卵子の質は、年齢とともに低下していくため、受精（体外受精も含む）してもなかなか良い状態の胚盤胞（受精卵）にはなりません。

鍼灸治療は、卵巣血流を増加させることで卵子の質を改善させ、良質な胚盤胞への分割をサポートします。また、体外受精での胚盤胞獲得率の上昇も期待されます。

胚盤胞（受精卵）の質が良くなってもそれを受ける子宮の状態が悪いと妊娠することは出来ません。鍼灸は、卵巣と同様に子宮の血流量を増加させることで子宮内環境を向上させることが期待されます。子宮内膜が厚くならない人が鍼灸により改善されることもしばしばあります。また、子宮の緊張状態を緩和させることで、子宮が胚盤胞（受精卵）を受け入れやすい状態となることも分かっています。

卵子の質の改善と着床しやすくする治療は異なるため、当院では患者さんの不妊治療の段階や今後の予定などをしっかりと話し合うことで共有し、最善の治療を行えるようにしています。